2022年10月10日、シンシア・ジャパニーズ・スキルズ・アカデミーでもようやく介護技能実習生、第1号を送り出すことができました。
2018年1月に学校をスタートさせたとき、まず目標にしていたのが介護技能実習生の教育でした。
一般的に技能実習生は日本語能力の資格要件はありませんが、介護は入国時に日本語能力試験N4に合格していなければなりません。他の日本語学校と差別化を図るために、より高い日本語レベルが求められる介護士の教育に特化しようというのがねらいでした。
当初は入国後1年以内にN3に合格できなければ帰国しなければならないという条件もあったので、日本入国前にN3の教育も終わらせるという教育スケジュールを立てました。
日本語能力の他には、介護士の経験があることや介護士資格(フィリピンではCaregiving NC2という資格です)を持っていること、看護師など4年制医療系大学を卒業していることという条件があったので第1期生は看護大学卒業生や介護士の経験がある生徒のみを選抜しました。
そんな中で、今回入国した彼は介護士の経験も資格も全く持っていませんでした。でも私がオリエンテーションで語った、これから日本は高齢化が進みたくさんの外国人介護士が必要になってくるということを理解し、日本で働くために介護士になると決意したようでした。日本語を勉強しながら介護の専門学校に通うというので入学を許可しました。
1月に教育をスタートし7月の JLPT(日本語能力試験)N4合格を目指しましたが結果は惨敗でした😭
次のJLPTは12月なので7月からN3コースの授業をしながら、10月にマニラにNAT-TESTを受けに行くことにしました。NAT-TESTについては以前ブログで書いているので、こちらを参照してください。
そして、彼は見事10月のNAT テストで4級レベルに合格しました。
ところが当校に教育依頼をされた介護施設では女性のみを雇用したいということで、彼に面接の機会はありませんでした。私の力不足で男性介護士を必要とされている介護施設をみつけることもできませんでした。
でも何とか彼の努力に報いたいと思い、他校の面接に参加させてもらい幸運にも面接に合格できました。
ところが、ここでもまた問題がありました。技能実習介護はN4合格の要件があるので面接で選ばれて、日本語の勉強をしてもN4に合格できなければ日本で働くことはできません。結局その面接で選ばれた他の人たちがN4に合格するまで彼も日本への入国を待たなければなりませんでした。
そうこうしているうちに、コロナウイルスの流行などもあり彼はまたしても日本へ行くチャンスを失ってしまいました。それでも彼はずっと日本で働く夢を諦めませんでした。
介護士の専門学校を卒業したあとは、本当に介護の仕事が好きになり介護士として働き続けました。当校で知り合ったクラスメートと結婚し子供も生まれました。一家を養うにはフィリピンの介護士の収入は十分ではありませんが、日本で介護士として働くという目標があったのでずっと介護の仕事を続けてきました。
日本語も独学で勉強を続け今年の7月に JLPT N3にも合格しました。
こういう努力を続けてきた彼を応援してきたのは私だけではありません。前回の面接で採用してくださり追加の日本語教育をしてくださった方も彼のことを気にかけてくださいました。
結局その方の人脈でフィリピン人男性を技能実習生として雇用してみたいという方に彼を推薦していただき今回の入国へとつながったのです。
男性介護士を雇用しない理由は様々あると思います。
- 男性は力が強いので利用者様への暴力が怖い
- 女性の利用者様が男性に下のお世話をされるのを嫌がる
- 女性用と男性用の寮を準備しなければならない
- フィリピン人男性は怠け者?
でも、性別や年齢、学歴だけで面接する前に条件を絞っては、本当にいい人財を雇用するチャンスを喪失してしまいますよ。彼はフィリピン人男性介護士の模範例になってくれると思います。
今後もっと多くのフィリピン人男性介護士が日本で雇用される機会が増えるを願っています。