特定技能とは
「特定技能」とは2019年4月1日より人手不足が深刻な産業分野において新たな外国人材の受入れが可能となった、在留資格です。
(詳しい制度説明はこちら↓↓)
https://www.moj.go.jp/isa/policies/ssw/nyuukokukanri01_00127.html
現在の受け入れ可能な産業分野は以下の14分野です。
①介護
②ビルクリーニング
③素形材産業
④産業機械製造業
⑤電気・電子情報関連産業
⑥建設
⑦造船・舶用工業
⑧自動車整備
⑨航空
⑩宿泊
⑪農業
⑫漁業
⑬飲食料品製造業
⑭外食業
特定技能の要件
「一定の専門性・技能を有し即戦力となる外国人を受け入れていく」という前提から日本語能力試験と各分野の技能試験に合格することが要件となっています。技能実習を(3年以上)終了した場合は日本語能力試験は免除、なおかつ技能実習と同じ産業分野、業務の場合は各分野の技能試験も免除となります。
技能実習でも特定技能でも認められている業種であれば、無試験で同じ仕事が継続できるので外国人労働者にとっても、日本の企業にとっても経験豊かな人材を採用できる良い制度ではないでしょうか。
しかし、技能実習にはない「外食業」、2017年11月に技能実習に加えられた「介護」、2016年4月に加えられた「自動車整備」の分野では技能実習から切り替えられる人材は皆無もしくは少数で、技能試験を受けて要件を満たす外国人労働者が多いのが現状です。
フィリピンでの技能試験
フィリピンでは2019年4月に他国に先駆けて「介護」の技能試験がスタートし、「外食業」は2019年11月、「自動車整備士」に関しては2019年12月より実施されています。(ここでは上述した3分野のみ触れますがフィリピンではこれまでに「建設(電気通信)」「造船・舶用工業」「農業」「飲食料品製造業」の試験も実施されています。)
一時コロナウイルス感染症によるロックダウンの影響で中断した時期もありましたが、定期的に受験が可能なため当校でも「介護」と「外食業」の特定技能対策コースを2019年よりスタートし、今では安定して合格者が出せるようになりました。
「自動車整備士」特定技能
今回新たに「自動車整備士」特定技能試験対策コースをスタートしたのは、技能実習「板金」でフィリピン人を5年間雇用した企業様が今度は特定技能「自動車整備士」として再雇用したいということで、送出し機関を通して教育依頼をいただいたのがきっかけです。
技能実習で「自動車整備士」分野が認められる以前は「板金」や「金属塗装」の技能実習生として3~5年の経験を積んだフィリピン人はたくさんいます。彼らはこの試験に合格することで特定技能「自動車整備士」として雇用の機会を得ることができるのです。ぜひ、そのお手伝いをしたいと思い 「自動車整備士」特定技能試験対策コースをスタート させました。
試験対策
試験は学科、実技共にCBT(コンピュータ・ベースド・テスティング)方式で行われます。学科試験の出題形式は、真偽法(○×式)で30問、60分。
実技試験の出題形式は、いくつかの課題について作業試験または図やイラスト等を用いた状況設定において正しい判別、判断を行わせる判断等試験。問題数は3課題で、複数の設問を設け、試験時間は20分
(試験について詳しくはこちら↓↓)
https://www.jaspa.or.jp/Portals/0/resources/jaspahp/user/specific-skill/pdf/001.pdf
介護や外食業では特定技能試験のためのテキストが日本語でも英語やその他の言語でも準備してあるので、とても助かっています。やる気のある元技能実習生は独学で合格している人もいます。
自動車整備士には残念ながら特定技能のための教科書がありません。
「自動車整備士技能検定試験3級」と同等レベルとのことから日本自動車整備振興会連合会が発行している下記教科書を使用しました。
- 基礎自動車工学
- 基礎自動車整備作業
- 三級自動車ガソリン・エンジン
- 三級自動車ジーゼル・エンジン
- 三級自動車シャシ
- 自動車定期点検整備の手引き
- 外国人技能実習制度自動車整備職種安全衛生教本
もちろん全部日本語ですし、漢字にフリガナもありません。そのまま使うのは不可能なので基礎自動車整備作業と安全衛生教本のみ翻訳してあとは過去問の解説を教科書から抜粋する時にのみ翻訳を付けました。
すべての問題が教科書に記載してあることだったので整備士の実務経験のない私でも、何とか生徒を合格させることができました。また 日本自動車整備振興会連合会 のホームページに試験問題の例が実際の試験と同じ問題数で掲載してあることで、実際の試験の出題傾向などが分析できたのも大きな要因の一つだったのではないかと思います。
でも、一番の要因は元々実務経験のある優秀な生徒が月曜から土曜日まで働きながらも4月から7月の4か月間、私が出した課題に真面目に取り組み、週一度の休みである日曜日にオンラインで授業を受けてくれたことに他なりません。
本当におめでとうございます